タニオカアイ

ウソとホントの間の話

眉村卓「自殺卵」

重松清「ロング・ロング・アゴー」が40代小説なら、こちらは70代小説か。

  • 豪邸の住人
  • アシュラ
    • 気力の低下を補う老人向けサプリメント「アシュラ」の副作用。加齢による知恵の蓄積と易怒性について。
  • 月光よ
  • 自殺卵
    • 簡易自殺装置、自殺卵。若年者と高齢者の死因に比較的自殺が多いというところからか。生の放棄が容易に行われる環境が、終末の物語でよく描かれる荒廃した市街に似ているのは興味深い。そこで生き残るという選択をする心理をもう少し知りたかった。
  • ペケ投げ
    • 無意識の衝動に駆られて、実際に手斧を投げることができるとしたら。
  • 佐藤一郎と時間
    • 幼年期はとうに終えた人類を成人・壮年とするならば、生活習慣病に罹患しているのでは。
  • 退院後
  • とりこ

眉村卓というと、「下級アイデアマン」や、異様に重力のかかる星で人間が適応していく様を描いた「重力地獄」のイメージが強い。

そうでなければジュブナイル、こちらはあまり読まないけれど代表作「ねらわれた学園」「まぼろしのペンフレンド」等の名前は聞いたことがある。

本作も発想は多様ながら展開はイメージしていたより随分あっさりしている。作中でも触れられているが、高齢作家としての著者の受けいれ方のひとつなのかもしれない。

星新一を超える著作があるとかで、言われてみれば病床の夫人へ毎日物語を話していたエピソードとその映画も、ああ、あれこの人だったのね。

驚いたのは、りんたろう川尻善昭大友克洋の映画「迷宮物語」が眉村卓原作だったこと。「工事中止命令」面白かったな。黒板の文字をなんとかして読もうとした記憶がある。

組織の一員としての諸々もシリーズ化しているそうなので、「司政官短編集」も読んでみたい。

自殺卵

自殺卵