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ウソとホントの間の話

半村良「酒媼(さけおうな)」

半村良コレクションとして「亜矢子」「妖花」「酒媼」が先にあり、後に日下三蔵編集で「亜矢子」「妖花」プラスアルファの「半村良コレクション」が刊行されていたので、今回は「酒媼」を。

なんでかな、と思っていたら、たしかにちょっと毛色がちがう。

「亜矢子」「妖花」は女性や超能力を扱った著者らしい作品が多く、こちら「酒媼」第一部は浅草人情系、第二部はその他もろもろ。

半村良について「おじさんが電車で読んでる官能小説」と聞いて、そこだけじゃないんだけどなあと思いつつ否定もできず。そもそも「石の血脈」は官能部分がないと成立しなかったり、「~伝説」シリーズはちょいちょいそういうシーンもあるし。

タイトルは忘れたけど、幼なじみの大門が出てくる話はむしろそっち方向の追究だったような。世に官能小説はたくさんあるだろうから、これもタイトル忘れたけど超能力者同士の交合が独特で半村良として読むならこういうのかな。

当時はそういう売り方だったのかもしれない。藤子Aだったか、売れるのを描け、エロを描け、と言われていたのは。そういえば「働きマン」で食とエロは売れるコンテンツだって言ってたなあ。

一方で後期の「すべて辛抱」「夫婦茶碗」あたりの人情物にはほとんどそういうシーンはなく、SFでも「岬一郎の抵抗」や「虚空王の秘宝」には全くない。それもまた売れ筋みたいなのがあったのかもしれないけれど。

第一部

平ちゃんなんて呼びかけられているところをみるとエッセイと読めないこともないけれど、なにしろ嘘屋さんなので。とはいえここは楽しくお客さんになるのがいいのでしょう。

  • 酒媼
    • 戦後の酒場で、女給たちの身の上からサンタクロースになってあげたいと思っていた男、なられてたまるかと思った女。
  • 神田茶屋始末
    • 酒場ぐらし後半生。
  • あさはか
    • こんなところに増田が増田らしく登場。
  • 通夜ばなし
    • 「~伝説」の編集者とのエピソードあり。
  • 銀杏の風
  • 雀と玩具
  • ぐい呑み
    • 昭和天皇逝去時の市井。表題作として短編集あり。
  • 駅の風景
  • 酒って……
  • うすのろ
    • 仕掛け話。好き。こういう話は大切に読んであげたい。

第二部

  • 愛の狩人
  • 葡萄の房が揺れている
  • 虎よ、虎よ
  • 青い奈落へ
  • 深奥への回線
    • 以上五作品は女性誌初出の官能作品。アルフレッド・ベスターはタイトルだけ。新コレクションに収録されなかったのもお察しくださいというところか。
  • サイレンサー
  • いまどきの親
    • 「長者伝説」と同じ状況で、家族がある小市民ならこうなるよと。
  • スポンサーが死んだ日
    • 半村良的ドタバタに歓喜。これと「酒媼」「うすのろ」が読めたのでよかった。
  • カメラマンが死んだあと

酒媼 (半村良コレクション)

酒媼 (半村良コレクション)